こんにちは、ぱるまです。この記事では2023年にツイートした数学の話を振り返ってみます
- ルベーグ積分の普遍性 (2月)
- 距離空間の三角不等式も順序集合の推移律も(豊穣圏の)射の合成 (2月)
- 関数の連続性について動画を出しました (2月)
- 「素数が無限個あること」の証明と「集合全体の集まりが集合でないこと」の証明 (2月)
- Stateモナドのお絵描き (2月)
- dim(V + W) + dim(V ∩ W) = dim(V) + dim(W) は基底で包除原理したもの (3月)
- 代数系の細かいツイートたち (3月)
- 包除原理を指示関数で解釈する (7月)
- 米田埋込による min, max の分配法則 (9月)
- まとめ
ルベーグ積分の普遍性 (2月)
証明ざっくりと読んだけど、普遍性で書けるのは割と自然だった。
— ぱるま (@paruma184) 2023年2月5日
積分は定数関数で定義できれば、単関数でも自然な積分が一意に定義できて、一般の可測関数でも自然な積分が一意に定義できるけど、この性質は圏論の普遍性(○○のものが一意に存在する)と相性がいいんだろうなぁって思った。 https://t.co/fW6kdqjbKM
この普遍性は「定数関数1を[0,1]で積分したら1」って定義を与えておけば後は一般の関数の[0,1]での積分も自然に定まるよねって感じみたい。おもしろいなぁ。
— ぱるま (@paruma184) 2023年2月5日
ツイートが消えたとき用の画像
ルベーグ積分が普遍性で書けるのおもしろいなぁってなりました。
距離空間の三角不等式も順序集合の推移律も(豊穣圏の)射の合成 (2月)
【豊穣圏論】Lipschitz連続関数の定義域を拡張する【Kan拡張】 https://t.co/3IU9aFhjN7 @YouTubeより
— ぱるま (@paruma184) 2023年2月8日
距離空間の三角不等式と順序集合の推移律って似てるなぁって思ってたけど、距離空間を豊穣圏ってものと考えると、三角不等式と推移律はちゃんと対応させられるのか〜(順序集合は圏と考えられる)
ツイートが消えたとき用の画像
これも alg-d さんの動画を見て知ったことです。おもしろいなぁと思いました。
以下の2つは $\hom(x, y) \times \hom(y,z) \to \hom(x,z)$ (射の合成) の特殊ケースとみなせるようです。(三角不等式の方は $\mathbb{R}_{\geq 0}$ -豊穣圏を考える)
- $d(x,y) +d(y,z) \leq d(x, z)$ (三角不等式)
- $x\leq y$ かつ $y \leq z$ ならば $x \leq z$ (推移律)
関数の連続性について動画を出しました (2月)
【位相空間論】関数の連続性の同値な言い換え ~ε-δ論法を集合の言葉で書くと~ https://t.co/ajPQG1MVPf @YouTubeより
— ぱるま (@paruma184) 2023年2月19日
投稿しました~よかったら見てね😊
2021年ごろにツイートした以下の内容を動画化しました。
これ以降、数学ネタは動画化できてないので、よさそうなネタがあれば動画化したいです。
「素数が無限個あること」の証明と「集合全体の集まりが集合でないこと」の証明 (2月)
「素数が無限個あること」の証明と「集合全体の集まりが集合でないこと」の証明、こう書くとめっちゃ似てる!😊
— ぱるま (@paruma184) 2023年2月23日
(「無限個ある」と「集合でない」が対応している) pic.twitter.com/jpBF62CZhX
いろいろな人に指摘されましたが、「素数が無限個あること」の証明が微妙すぎます......。結構伸びてしまいましたが、微妙なツイートをしてしまったなぁという気持ちです。
($P_1, \ldots, P_n$ が素数の全体のとき、$P_1 \cdots P_n + 1$ が素数だというのに飛躍があるのと、$P_1,\ldots, P_n$ が素数のときに、$P_1, \ldots P_n + 1$ が素数であると誤解を生む表現をしてしまっている。)
Stateモナドのお絵描き (2月)
Stateモナドのお絵描き
— ぱるま (@paruma184) 2023年2月26日
(curry, uncurry の随伴を考えると、State モナドがちょっと見通しよくなる気がする) pic.twitter.com/LKqYHQmwiV
随伴(curry, uncurry)考えると State モナドの見通しが良くなるなぁってことに気づいたのですが、今となってはほとんど忘れてしまっています。(必要になったら思い出します)
ツイートはしてないですが、継続モナドは $\mathrm{ev}\colon A\times X^{A} \to X$ のカリー化を考えると見通しが良かったです。
↓当時書いた雑な絵
dim(V + W) + dim(V ∩ W) = dim(V) + dim(W) は基底で包除原理したもの (3月)
線形代数で出てくる
— ぱるま (@paruma184) 2023年3月5日
dim(V + W) + dim(V ∩ W) = dim(V) + dim(W)
って、包除原理
|X ∪ Y| + |X ∩ Y| = |X| + |Y|
と似てるなぁってふと思った。
dim(V + W) + dim(V ∩ W) = dim(V) + dim(W) は基底で包除原理したものって見れそう。 pic.twitter.com/ukEA3bZeEf
— ぱるま (@paruma184) 2023年3月5日
ツイートが消えたとき用の画像
これ気づいたときはちょっと感動しました。 dim(V + W) + dim(V ∩ W) = dim(V) + dim(W) に対する直感的な解釈ができて嬉しかったです
代数系の細かいツイートたち (3月)
特にコメントはないので貼るだけ(後で見返す用)
包除原理を指示関数で解釈する (7月)
包除原理、
— かつっぱ@ 競プロYouTuber (@catupper) 2023年7月26日
(U-A)∩(U-B) = U∩U - U∩A - U∩B + A∩B
みたいな怪しい展開の一般化で覚えてる(あくまで覚え方)んだけど これってなんか厳密なアプローチにできる?
(FF外ですが)この覚え方いいですね!
— ぱるま (@paruma184) 2023年7月28日
指示関数を使うと、厳密にそういう展開だと思えそうです。 pic.twitter.com/6zf5RRop9R
ツイートが消えたとき用
包除原理の式は指示関数で書いて展開した式だと思うと見通しがよかったです。 これ気づくまでは包除原理の式はぐちゃぐちゃしててややこしいなと思っていたのですが、これ気づいてだいぶ包除原理の式の見通しがよくなって嬉しかったです。
この件については、ブログの記事にしました。
米田埋込による min, max の分配法則 (9月)
max(x, min(y, z)) = min(max(x, y), max(x, z))
— ぱるま (@paruma184) 2023年9月10日
(min, max の分配法則)の証明考えてたらおもしろい証明思いついた!
min, max の分配法則が論理の分配法則に帰着できておもしろい😊 pic.twitter.com/U0Wt8C9g9C
論理の分配法則に帰着できるのがおもしろいです。
この証明の背景には米田埋め込みがあります(明示的に使ってはないですが)
「任意の w に対して w ≤ ...」を考えるところは、この f[A₁∪A₂] = f[A₁]∪f[A₂] の証明と同じ考えです。
— ぱるま (@paruma184) 2023年9月10日
(背景に圏論の Hom(a, b) ≅ Hom(a, c) ならば b ≅ c の話があります) https://t.co/F90gIHLedj
なお、半順序(inf, sup)だと分配法則は成り立つとは限らないです。
半順序(inf, sup)だと、
— ぱるま (@paruma184) 2023年9月11日
w ≤ x ∧ y ⟺ w ≤ x かつ w ≤ y
は成り立つけど、
w ≤ x ∨ y ⟺ w ≤ x または w ≤ y
は成り立つとは限らないのか。
(だからinf, sup だとこの証明は使えない。そもそもinf, sup だと分配法則成り立つとは限らない) https://t.co/Tkj61eGQZt
ただ、集合の∩, ∪ や gcd, lcm は分配法則が成り立ちます。 (集合の場合は指示関数使うと {0,1} の min, maxの話になって、gcd, lcm は素因数分解したときの指数でmin, max の話になります。)
逆になんで半順序でも集合の∩, ∪ や gcd, lcm は分配法則成り立つんだろうなぁっていうのを考えてた。
— ぱるま (@paruma184) 2023年9月12日
どっちも成分ごとにmin, maxを取っていてmin, maxの分配法則に帰着できるからって解釈をした
(例えば、gcd, lcm は素因数分解したときの各素因数の指数のmin, maxになってる。)
まとめ
振り返ると代数ぽいツイートが多めの1年でした。
2023年は代数をちょっとだけ勉強しました(土岡先生の講義資料を読むなどしました)。 まだあまり進んでないので引き続き勉強していきたいです。